【今日の表現】 久々です!

明け方六時半ごろ、京都は雪が降っていました。冬至から二か月近く過ぎて、この時間になると空はずいぶん明るい。特に今朝は雪雲がわずかに桃色に染まり、雪雲の上では朝焼けが拡がっているのが窺い知れます。山は鈍色(にびいろ)のシルエット。まことに水彩画の世界を目の当たりにしているようで、寒さを忘れて、しばし堪能させられました。
日曜日とはいっても、この時間になれば車もとおる、人も歩く、電車も走る。郊外とはいえ山裾には家が犇めき、送電線が網の目のように空中にはりめぐらされているのが目に飛び込んでくる。けれど、山の姿、空のありようは何千年前と変わりはないでしょう。清少納言や紫式部の時代の人々、いや平安京が定まるずっと前の時代に、この盆地に生きていた人々も、このような二月の雪の夜明けを眺めていたに違いない。
そんな事情で、ちょっと前に読んだ丸谷才一のエセーのこのひとくだりを思い出しました。