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2012年2月13日月曜日

【今日のお酒】国産ワイン

 基本的には焼酎党なのだけれど、しばしばワインも美味しくいただく。なかでも近ごろ頻繁に求めるのが写真の国産ワインである。価格は一本¥525、コンビニや食品スーパーなどで簡単に手に入る銘柄である。裏ラベルにはミディアムボディーと印刷されているが、味は若く、超をつけていいほどのライトボディー。酸化防止剤が入っていないので、酔い心地、酔いざめ、ともに爽快感がある。とくに赤は、開栓後30・40分あたりの、ちょっと渋みの出てくるころが絶好調となる。


ぼくの20代ころの国産ワインは、酸味がつよくてこく・奥行きがなくて、たとえ値段が安くてもなかなか手が伸びなかったのだけれど、20年くらい前からだろうか、飲みやすく、味も良くなったように思う。


そんな「回想」をしていたところへ、わが開高健先生がエセー集の中に、国産ワインについて言及しておられるのに出会った。前回のブログ同様、1980年前後のものである。


 「冷静公平にいって全般的に水準が上昇している。十年前や十五年前にくらべると、お話にならないくらい上昇している。土質、品質、肥料、その他いろいろの点でひそやかな苦闘がおこなわれたものと推察したい。わが国では湿気と雨という二大敵があるので、ぶどう酒の品質もおのずから超克しようのない限界を負わされているわけだが、その枠のなかで精いっぱいの努力がされている。
・・・・・
 それにしてもロマネ・コンティ一本に二十万円という値段をつける近頃の風潮はひどいものである。ロマネ・コンティはまさしく≪ヴレ・ド・ブレ≫の逸品であるけれど、こういう待遇をしてはいけない。これは尊敬しているように見えながらじつは酒を侮辱し、いやしめるものである。むしろ背後に無知を感じたくなる。買うやつがいるからこんなことをするのだろうが、どちらもどちら、眼にあまる。あいた口がふさがらないので、その口で国産ぶどう酒を飲むことにする。」

      『開口一番 近頃の日本のぶどう酒は・・・』


 少しおことわりしておくと、わが愛飲の「R&B」の葡萄はチリ産である。20年くらい前、滋賀の葡萄の栽培地域で、ワイナリーを開いた人に聞いた話だが、この地の葡萄で酒にするのはとてもむずかしくらしく、当初はフランスから果実を輸入していたそうである。現在どんなことになっているのか知らないけれど、開高先生のおっしゃるように、純国産ワインを醸すのには、いくつものハードルをクリアしなければならないということになりそうである。

2012年2月9日木曜日

【今日のお酒】 日本酒


 ぼくは、いわゆる‶酒飲み〝。30年以上毎日飲まなかった記憶がない。立派なアルコール依存症であるという人もいる。ぼくの爺さんがは朝昼夜と食事どきに飲み、それでも早朝から商売にせいをだして働き、83歳で亡くなった。亡くなる直前まで、この生活習慣を‶守った〝。

 とても爺さんの真似はできないが、毎日黄昏どきになると飲みたくなって、仕事の締めくくりももどかしく、集中力も落ちてくるのがわかる。これもDNAか? が、お酒のおかげで‶早寝早起き〝という生活習慣を永年続けることができている。飲みすぎて、酒が体の中にのこっていることも、しばしばありますが・・・これはハズカシ!

 そこで、今日は日本酒。右の写真のパックは何と2ℓ¥990。アルコール度数が少しひくいので、酒税が安いのかな? 初めて彼(彼女)に会ったときは、料理酒を探していた。スーパーマーケットで売っているいわゆる料理酒は安いけれど、塩や甘味料・・いっぱい!こんなの使いたくない!、で発見したのが清酒正宗。極上だとはいえなけれど、軽妙で、クールです。

 酒は燗で飲めという爺さんのおことばでしたが・・・
 
 日本酒は飲むと、次の日が体が重い、やはり爺さんの遺言どおり、燗で飲むべきか。

 そこで開高健の日本酒エッセーです。これは1980年代に書かれたエッセーです。確かに古いですが、


 「ラムをあたためたのを‶グロッグ〝、ウィスキーをあたためたのを‶ホット・トディー〝、ぶどう酒をあたためたのを‶ヴァン・キュイ〝(または‶ヴァン・ショウ)という。いずれも冬の夜のたのしみであるが、今日は税務署へいったあとだから風邪をひきそうだとか、三日つづけて女房の顔を見たので何だかゾクゾクするとか、そういったときの飲みものである。いつもそうして飲む酒ではない。
 あたためてのむとその本質のうまさが登場し、しじゅうそうして飲まれる酒といえば、日本酒か紹興酒ぐらいしか思いだせない。・・・日本酒世界でも珍しい酒であり、稀なものなのであると思えてくるのである。ところが昨今(または最近三十数年の)、この貴重な日本酒の味が、手におえない堕落ぶりである。
 ・・・たまたま田舎を歩いていて、サラサラとした辛口の地酒に出会うと、・・・拍手をしたくなる。お酒呑みなら大げさないかただとはけっしてお思いになるまいと思う。そして・・・刺を通じて酒倉を見せてもらいにでかけたりすることがある。この甘ったるい時代の酒流にのらないでひっそりと、しかし堂々と背を向けていらっしゃるらしいその酒造家の顔をみたくなり会ってみたくなるのである。

 ・・・いったいこういうクド口がはびこるようになったのは米が不足した戦時中に‶サンバイジョウゾウ〝(けたクソわるいのでカタカナで書かせて頂くが――)という苦肉を編みだして以来のことで、永い永いこの国の酒史のなかではお話にならない浅薄さに酒造家がアグラをかいているからなのである。そういうクド口を黙って飲んでいる酒徒にも責任があるが、A級戦犯はもっぱら酒造家にある。
 香水、料理、お菓子、歯みがき、石鹸、これら官能品で甘いものは幼稚な段階にあるものといいたい。いまの日本酒は酒品をいえば幼稚園の味である。どんな本を読んでいるか言ってごらん、そしたらあなたがわかる。これは酒にも通ずることである。大きな声をだして飲んでいますと答えられるサケをつくっていただきたいものである。


      『開口一番 いいサケ、大きな声』

あと何日かシリーズ続きます。 よろしく!

2012年2月7日火曜日

【今日の駄作】


今朝は暖かな雨、数匹の猫が大暴れ。
猫の恋、もつれたか

    針色の雨落ちて京の春立ぬ

    明け方の猫大争乱で春立ぬ


         自駄作

2012年1月30日月曜日

ビートルズ ぼくのハード・デイズ・ナイト


 今朝も雪がちらつく。午前5時過ぎから、週三回のジョギング開始。こういう冷たい朝は、冷たさにまともに向いあうより、冷たさから思考をそらして、ほかのことを考えてみるのも、ちょっとした工夫である。

 今朝は先日読んだ、池澤夏樹がビートルズについて書いていたエッセーのことが頭に浮かんだ。そのことを頭の中で反芻している内に、冷たさに対する意識は遠のいていく。


 「彼等(ビートルズ)はおそろしく誠実だった。一つのジェネレーションが彼等によって誠実な生きかたというものを習得した。人が毎日暮らしていて遭遇するいろいろな状況に対して取るべき態度を彼等は教えてくれた。歌だけでなく、たとえばエリザベス女王についてどう思うかと問われて、”Oh, she's O.K."などとあっさり答える彼等の姿勢そのものがまさに誠実なメッセージだった。この点を理解できない人間には結局彼らの魅力はわからなかったと言ってよいだろう。」

 「キャロル・キングが歌いかける相手はやはりアメリカのインテリ女性だろうし、ボブ・ディランの歌も多少ともヒップな連中にしか通用しない。ミック・ジャガーには解放感はあっても現実感がない。ビートルズがあれほど成功したのは彼等の星辰活動の領域が広く、彼等の歌の世界に入口が沢山あったからだろう。」

                   池澤夏樹『ア・ハード・デイズ・ナイト』

 
 ぼくは、ビートルズの登場に衝撃を受けた記憶がない。今もビートルズは嫌いではないし、好きな曲もたくさんある。それでも、どちらかというと、ミックジャガー=ローリングストーンズやボブ・ディランのほうが好きだ。

 冷たい空気の中で、意識は堂々巡り。体が少し温まってくる。
 
 結局ぼくは「この点を理解できない人間」であり、「結局彼らの魅力はわからなかった」のだろう。残念ながら。
 
 それは、不誠実な生き方しかしていないということなのだろうと、居直ってみたりする。

 ここまで、思いが至ったところで、東の空が白み、ブルーが拡がりはじめた。朝はこの時間がいちばん冷たい。

2012年1月28日土曜日

【きのうの雑学】



 専門の研究者が解明したことも、素人のぼくたちが知識として得ても、研究者には失礼ながら、雑学ということになる。

 昨日(2012年1月27日)の朝日新聞29面に掲載されていた記事。大阪市立大チームが、ハエトリグモ(どんな蜘蛛か知らない)は標的の蝿との距離をピンボケ度合で計っているという研究結果を発表した。これは最新のデジカメにも使われている「技術」だということだ。狙った蝿がどのくらいぼけて見えるかで距離を知り、ジャンプして蝿をとらえるということらしい。距離が遠い程小さくくっきり、近いほど大きくぼやけて映る。

 これって老眼と同じだね。そういえば最近老眼が進み、ちょっとピントが合いにくくなってきた。眼鏡を変えるかな。

 ピンボケの頭でピンボケ行動の毎日の人生。そういうぼくには、朗報である。ピンボケをうまく利用する方法がきっとあるような気にさせてくれる。

2012年1月26日木曜日

【今日の表現】


寒い中、ちょっと暖かく(少し背筋が寒くなる)別世界を。


開高健『君よ知るや、南の国--眼ある花々』

「うるんだ亜熱帯の黄昏空を巨大な夕陽がソテツやヤシの林のかなたに沈んでいき、空には真紅、紫、金、紺青、ありとあらゆる光彩が、いちめんに火と血を流したようななかで輝き、巨大な青銅盤を一撃したあとのこだまのようなものがあたりにたゆたっている。謙虚な、大きい、つぶやくような優しさが土や木にただよう。」

「私はパリを経由して(ベトナムへ)きたので釣竿を持っていた。バナナ島は最前線中の最前線で、すぐ眼のまえの対岸が反政府地区であった。生きるか死ぬかの闘争をしている場所へ釣竿など持っていくのはいかにも不謹慎な気がしたが、いってみると、たいそう歓迎された。(中略)第一回にこの国にきたとき坊さんに日ノ丸の旗にヴェトナム語で『私ハ日本人ノ新聞記者デス。ドウゾ助ケテ頂戴』と書いてもらったのを持って歩いたものだが、それを見たときのヴェトナム人の顔とバナナ島の人びとの顔をくらべてみると、日ノ丸よりも釣竿のほうがはるかにあたたかく、まったく無条件でうけ入れられたといいたい。

「爆弾や砲弾はどこへとびこむかわからないので機関銃弾よりおそろしかった。衝撃にたまりかねて小屋のそとへとびだしてみるが、どこへかくれていいかわからず、どこへかくれても効果はおなじであるような気がするので、闇のなかで思わずたちすくんでしまう。すると、水ぎわの木に何千匹とも何万匹とも数知れぬホタルがむらがっている。ここのホタルは一匹一匹が明滅するのではなく、何万匹もの大軍団がいっせいに輝きはじめ、それがしばらくつづいてから、ふと、ある瞬間、いっせいに消えてしまうのである。(中略)蒼白く輝き、それは何万もの大群集の歓声でであるはずだが何の物音もしない。光輝がふっときえると、その穴へ闇がなだれこむ。

 それは太古の夜の花である

すばらしい表現力です。

2012年1月24日火曜日

冷たい朝、美しい朝

冷たい朝、吉田山から西を望みて

<大寒の雪雲かむる愛宕山
      朝焼け燦と

         青さぎの声>  自作のお粗末


【今日の雑学】


現在日本最古とされる漆は8千以上前のもので、中国より千年古い。(宮代栄一 『朝日新聞』文化面)